当資料館がめざすもの
戦争や原爆の悲惨さはいつまでも深く胸に刻み、これを風化させてはなりません。しかし、悲惨な結果を招いた原因が、残虐の限りをつくした日本のアジア侵略にあったこともしっかりと心に刻む必要があります。受けた苦しみの深さを知ることが、与えた苦しみの深さも知ることにつながらなければ、平和を築くことはできません。
日本の侵略と戦争の犠牲となった外国の人々は、何ら報われることなく見捨てられてきました。加害の歴史は隠されてきたからです。加害者が被害者にお詫びも補償もしないという無責任な態度ほど国際的な信頼を裏切る行為はありません。
核兵器の使用が正当化されれば再び使用される恐れがあるのと同様に、無責任な態度が許されるのならば、再び戦争が引き起こされる恐れがあります。
この人権平和資料館は、史実に基づいて日本の加害責任を訴えようと市民の手で設立されました。政治、社会、文化の担い手は、たとえ小さく見えようとも一人ひとりの市民です。当館を訪れる一人ひとりが、加害の真実を知るとともに被害者の痛みに思いを馳せ、一日も早い戦後補償の実現と非戦の誓いのために献身すること、そして反核・反戦・反差別・平和の実現と相互の人間連帯に寄与することを願ってやみません。
2024年4月1日 長崎人権平和資料館